お前に私たちの努力を…… そしてカルメンの気持ちを嗤う資格なんて無い。
接待[]
ドロップ[]
O | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | |
赤い霧の本 | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% |
冊数 | 2 | 2.2 | 2.6 | 3 | 3.5 | 4.2 |
バトルページ[]
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広域攻撃-合算広域攻撃にて、相手のダイスの値の合計より、このダイスのほうが大きければダメージを与える![]() ![]() |
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攻撃的中時、他の![]() ![]() |
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専用ページ 赤い霧 このページでダメージを10以上与えた場合、ページを1枚引く。他の全「縦斬り」のコストが1減少する。 ![]() ![]() |
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専用ページ 赤い霧 このページでダメージを8以上与えた場合、ページを1枚引く。他の全「突き」のコストが1減少する。 ![]() ![]() ![]() |
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専用ページ 赤い霧 このページでダメージを8以上与えた場合、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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専用ページ 赤い霧![]() ![]() ![]() |
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専用ページ 赤い霧 敵を倒すか ![]() ![]() |
コアページ[]
※赤い霧のコアページを装備すると階のEGOページが使用できなくなる。
赤い霧のページ | |
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![]() ゲブラーのみ装着可能。固有のE.G.Oを使用することができる。 ![]() 戦闘開始時、反撃ダイス(斬撃 4-8)1つを追加する ![]() 自分の ![]()
![]() ※「E.G.O発現」状態のとき追加 |
効果解説(まとめ ⇒ ページ効果解説/都市の星)
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還元[]
ストーリー[]
それを握っている人の心に反応する武器、E.G.O。カルメンが私にくれた剣は、偶然誰かから抽出したものだ。真っ赤な肉塊みたいなのが付いている剣には大きな目玉が嵌め込まれていて、その沢山の目玉はいつであれ私の動きを観察した。視線を負担に思うくらいに。カルメンにこれは何か、新しい特異点かと聞いてみると、見た目は自分で決められるものではないから不便でも慣れろ、としか言われなかった。ちょっと嫌な感じはしたが、それほど悪くはなかったしカルメンもまた実験が必要だと言っていたので、大したものだとは思わなかった。ただ、本当に運良く抽出できたエゴで不安定だから気を付けてと一言付け加えた。様々な工房製品を見て来た私はそこまで悩まず剣を受け取ると言った。
カルメンがくれた剣を初めて掴んだときには特に何の感情も湧かなかった。ただ、大きくてズッシリとした大剣だと思っただけ。特別だって言ってたけど、見た目を除けば平凡そのものだった。でも数日後、仲間を守るために剣を握ったとき、今まで聞こえなかった声が聞こえた。誰かが切実に何かを望む声。惜しくもその意味が正確に伝わりはしなかった。いや……言葉ではなかった。誰かを真似しているだけの、そんな中途半端な言葉。歯が削れて骨が砕け、ドロドロと肉塊と絡み合う音。その最中にも、人間の言葉を真似するかのよう、不規則に何かがぶつかり合って落ちて混ざる。でもその音はあまりにも荒々しく、鋭く響いた。中身が空っぽである者の強い執着。愛着。空虚。正直、これを何という単語で定義すべきか分からない。
1つ確かなのは、その声は私だけに聞こえて、耳ではなく頭に響く音だということ。その声は守るという目標が強く確実であるほど、よりうるさく頭に響いた。この声に揺さぶられたら心まで喰われてしまいそうな不安から、私は音を無視しようと努めた。剣に嵌め込まれた眼はその姿さえ慎重に、ずっと目を離さず私を見つめる。ちょっとでも揺れてしまうと、こいつが私の代わりになるような勢いで私を観察する気がして、たまに意識が遠のいた。最初は何かを挽くような奇声を上げることしか出来なかったそれは段々言葉を学ぶと、まもなく少し潰れた発音であってもだいたい聞き取れる程度の人間の言葉を発し始めた。人を守るために人の殻が必要だ。殻……それは絶えず殻を望んでいた。私は音を止めることが出来なかったから、無視することが最善の方法だった。
危険性を考慮してもそれの力は凄かったので、私はそれを背負ったまま多くの人を守り、それに伴って多くのものを斬ってきた。声は血を吸うにつれて段々より強く濃くなり、ある日それは私に鋭い質問を投げかけた。お前もやはり人間の殻を求めていると。
実のところ、私に向けた質問ではなかったはずだ。それは単に自分の言いたい事を言うだけだ。私に説得をするわけでも、絡もうとするわけでもない独りでに吐き出す言葉。それなのに私の身体はその場で固まってしまった。それはずっと何かを言った。果たして私たちの命の価値は私が殺した者たちの価値と引き換えられる程なのか?それはそんなに細かく言葉を駆使することは出来なかったが、どうしてか私の頭はそんな風に受け止めた……もしかすると、ただ私が考えたことだったのかもしれない。
最初はそれの言葉を否定した。こっちから手を出すことはなかったから。私はただ、誰かが危ない目に遭っているから動いただけと。でも心の片隅ではそれの言葉に揺らぎ始めた。血を血で洗えば、最後には何が残るのか。血に濡れた殻だけが残るだろう。
私は少しへたり込んだ。でも頭を動かすことは止めなかった。本当に心まで沈んでしまったら、カルメンの言う通り危険なことになるかもしれない。カルメン……そうだ、カルメンなら違っただろう。誰も行かない場所を歩んでいくカルメンのまなざしに勝てるものはないだろう。真っ直ぐな目つき……演説をしながら誰かから野次を受けても、これ以上は進めない状況に皆が絶望するときも。カルメンは自分のことだけを考えることはなかった。そして皆を導くために前に立った。そんな人を守れたらここも変わるんじゃないか?うん。あの人さえ守れるなら。
考えがはっきりすればするほど、これ以上座ってばかりは居られなくなった。頭よりも身体が先に素早く反応した。実は、その間のことは正確に思い出すことが出来ない。遥かなる精神の彼方で再び理性の紐を掴んだとき、私の身体はどんなときよりも熱かった。怒り?ついに私は前が見えなくなるほどに侵蝕されたのか?そう考えるにはあまりにも落ち着いていて、むしろ清々しく思えるほどだった。頭は冷たく、身体を率いる心は正反対に。何かが変わったことを感じるのには、そう時間を要さなかっただろう。丈夫な鎧の上に丈夫で細かい布ではない……霧のようなものが私を包み込んでいた。私は信じられないと思いながらすぐに何度も身体を動かしてみたが、まもなく自然と消えた。
これを知ったカルメンは特に何も言わなかった。騒ぎ立てもしなかったし、今すぐ何かをしようとも言わなかった。ただ発現だけではなくその力を扱うことが大事だから、怠けてはいけない……と、やや突飛な話をしてその場を離れた。プレッシャーを与えたくは無かったのかもしれない。
時が経つにつれ私はより長い間その防具を扱うことができるようになり、その力を最大限に引き出せるようになった。感情に感応する武器と服。より多くの人々を守ることができ、それに伴ってより大きな力を引き出せるようになった。研究がやや難航しているようだったが気にしなかった。彼女たちならできると思っていたし、その間私はより足を早く動かせば良いだけの話だった。しかし、それからそう遠くない頃に事は起こってしまった。いや、突然のことではなかっただろう。既に前触れはあっただろうから。
扉の前で座り込んで泣いている子供の声が、この角の向こうから聞こえる。カルメンが連れてきて保護していた2人の子供の内、1人が実験に失敗して死んだんだ。臆病で中々心を開かないリサと違ってエノクは私たちの実験に興味を示し、このまえ自ら実験を志願した。エノクの言葉はとても簡潔明瞭だったので誰もが驚き、あんぐり口を開けていた。恐れを抱くことも、恐怖に震えることもない……真っ直ぐで穏やかな声だった。エノクの目は絶対に純粋な子供の目ではなかった。エノクの言葉と考えは年齢不相応に、私すらも驚くほどに深く成熟していた。一体何が、この子がこういう風に考えるようにしたのか、私は時折気になった。この世の全ての絶望と悲しみを知っているような目つき。それでも彼は子供だったから、実験を許可してもいいという大義名分は無かった。カルメンは何日もの夜を更かして悩んだ。
結局、実験は許可されたが彼女らの考えがどうだったのか、これ以上気になりもしなかった。一体そのちっぽけな子供の手を掴んで何をしようとしたのか。それくらいに私たちが追い込まれているのかと思った。でも、何事もなかったかのようにやり過ごした。本人の希望でやっていることを止める必要は無かったから。
あんたが死ぬべきだったのよ……残った子は泣きながら言った。もちろん、本心がこもった言葉ではなかった。ただ、今の状況に耐えられずに心にもない言葉を吐き出したんだろう。
うん……私も……そう思うわ。でも、返ってきたカルメンの答えは本心がこもっていた。皆の身体が固まった。絶対に崩れないと思っていた、もしかしたら予想していたかもしれない私たちの心にヒビが入り始めた。
日を追って打ち込んだ釘が錆びつくように、カルメンの調子は悪くなった。ここまで皆を連れてきたカルメンの澄んだ目は曇っていき、口数も少なくなっていった。声にそれまでの意気込みが無く、今すぐ死んでもおかしくないくらいに冷たくなった。特に平気なフリをしたりはしなかった。むしろそっちの方が良かったと思っている。研究所にいる皆はカルメンの顔色をうかがい始め、それぞれの目でカルメンを見た。私たちをここまで連れて来たのに責任を手放そうとしているのかという鋭い視線。カルメンがどうにかなってしまわないかという心配そうな視線。あるいは何も考えていない人もいるだろう。黙って研究を続けたけど、これはそう長く続かなかった。
数日後、カルメンは自分の罪責感を全て流したまま、その中に永遠に閉ざされた。
セリフ[]
余談[]
人物像[]
- 追記待ち